君子はその位(くらい)に素して行い、この外を願わず。
富貴に素しては富貴に行ない、
貧賤に素しては貧賤に行ない、
夷狄(いてき)に素しては夷狄に行ない、
患難(かんなん)に素しては患難に行なう。
君子入るとして自得せざるなし。
上位に在りては下(しも)を凌(しの)がず、
下位に在りては上(かみ)を援(ひ)かず、
己れを正しくして人に求めざれば、則(すなわ)ち怨(うら)みなし。
上は天を怨みず、下は人を尤(とが)めず。
君子は自分の立場や地位にこだわらず、
その時々の自分の境遇を受け入れて行動する。
そして、それ以上のことを求めない。
金持ちになればなったで、それにふさわしい行いをする。
貧乏であったとしても、不平も言わず悠々として生きる。
僻地や田舎に暮らしたとしても、その生活を楽しむ。
苦しく、困難な状況になったとしても、あわてず、
従容(しょうよう)としてそれを受け止める。
君子はどんな状況になっても、淡々としてその境遇を受け入れる。
上の立場にあっても、下の者をしいたげたり、
上から押さえつけたりしない。
下の立場であったとしても、上に媚(こ)びへつらったり、
取り入ったりしない。
自ら正しい道を歩み、他人に求めず、与えることを多くすれば、
人をうらやんだりしない。
天をうらまず、人をとがめてはいけない。
―中庸
現在の自分の状況に一喜一憂するのではなく、
素直に受け入れ、やるべきことをやっていく。
目指すべきを目指していく。
静かに志を暖め続けていきたいと思います。
孔子は「中庸」の中で誠をあがめ、超越的な力をそれに与えて、ほとんど神と同格であるとした。すなわち「誠なる者は物の終始なり。誠ならざれば物なし」と。



